「創業450年」と「会社設立42年」
箕輪漆行の公式サイトには「天正元年創立」とあります。天正元年は1573年。織田信長が足利義昭を京都から追放し、室町幕府が終わったとされる時代です。一方、現在の株式会社としての設立は1982年7月。長い商いの歩みと、現代の会社としての制度は、分けて記しておく必要があります。
拠点は、日本の漆掻き職人発祥の地とされる福井県今立町、現在の越前市。会社は「一人一人のお客様を何よりも大切にする」という商いの心を掲げ、漆一筋に歩んできたと説明しています。
工芸品の向こう側には、材料を見極め、安定して届ける仕事がある。
漆を売る会社ではなく、漆の仕事を支える会社
箕輪漆行の事業は、諸漆の精製・販売、各種漆工材料、漆器の販売です。公式サイトでは国内漆の40%のシェア、漆の販売量日本一、5,000点以上の品揃えを掲げています。漆や色漆だけでなく、木地、貝、道具、設備まで扱う。つくり手が必要とするものを、一つの窓口に集めてきた会社です。
日本産漆だけではありません。品質と供給の安定を確かめるため、中国の生産地へ何度も足を運んだことも公式の代表挨拶に記されています。伝統を残す仕事は、古い技法を語るだけでは成り立ちません。材料が届くこと、価格と品質が安定すること、制作を止めないこと。箕輪漆行の歴史は、その現実を教えてくれます。

一滴の漆が、時間を抱える
漆は、15年ほど育てた木から、わずか牛乳瓶一本分ほどしか採れないと箕輪漆行は紹介しています。乾いた漆は丈夫な塗膜になり、光沢と色合いは使う年月の中で深まっていく。器、家具、建築、橋、船、接着。漆は飾りではなく、生活を守る機能として使われてきました。
今回Mono Storiesで紹介するのは、グリーンとブルーの天目塗ぐい呑です。直径7.2cm、高さ4.3cm。掌に収まる大きさの中で、斑紋が光を拾い、見る角度によって表情を変えます。外側の木目と内側の色が、静かな対比をつくっています。
使われることが、次の仕事になる
Mono Storiesは、この器を「伝統だから残す」ものとしてではなく、今の暮らしで選び、使えるものとして届けます。価格は税込55,000円。つくり手に適正な対価が戻る販売条件を整え、送料は購入者負担として別に設定します。
商品ページでは、樹種、容量、箱、重量、在庫、お手入れ方法を最終確認後に追記します。歴史を大きく見せるより、分かっていることと確認中のことを分け、買った後まで責任を持てる情報にする。その整備も、文化を支える仕事の一部だと考えています。

